PRIDEへの思い 01
森下社長「PRIDEへの思い」1.8懇親会 全発言(1/3)
森下社長は懇親会でPRIDEのあるべき姿を熱く語った
この文章は、現在(2008/12/27)もスポーツナビ(http://sportsnavi.yahoo.co.jp/)のアーカイブに存在しているのだが、何かしらの理由で閲覧ができない場合を想定し、無断で転載しているものです。あくまで個人的な見解ではございますが、森下氏は格闘技を単なる興行だけではなく、ビジネスとして真摯に取り組んだ初めての人物ではないか?と考えており、尊敬するビジネスマンであったと考えるからです。
彼の功績を称えたいと共に、貴重なビジネス感覚であるという意味で、極々個人的な理由で、私個人が閲覧する為だけに記しました。
9日、PRIDEシリーズなどを主催するドリームステージエンターテインメント(DSE)の森下直人社長が自ら命を絶った。42歳だった。自殺に至った経緯は既報のニュースどおりだが、森下直人社長は、その数時間前にホテルに報道陣を集め、3年ぶりのPRIDEグランプリ開催を明らかにし、今後のPRIDEのあるべき姿をひとつひとつ丁寧に語っていた。
森下社長からは編集部でも幾度となく話しを聞いたが、印象的だったのは家電量販店に務めていた経験を生かした顧客を満足させる視点だった。「ビジネスには川下の発想が必要、川上の発想では市場が小さくなる」と常に受け手の発想を忘れなかった。また「弱者の気持ちが分からなければ本当に強くはなれない」と格闘家たちにエールを送ることもあった。
8日の懇親会でも、記者団からの「大会前の選手への事前取材」のリクエストに真っ先に答えると、すべての質問が終わるまでその場を立とうとしなかった。一見、営業畑出身で泥臭い格闘技とは無縁のビジネスマン風情に見えたが、この会見でも分かるとおり、客寄せパンダ的な選手を扱うことを嫌い、足元をじっくりと見据えた格闘技イベントの開催を心掛けていた。「昔はあまり格闘技は好きじゃなかった」と言いながら、空席が目立った福岡大会でもノゲイラvsヘンダーソンなど技術の攻防となった通好みの外国人勢の試合を高く評価した。
PRIDEだけでなく、「Dynamite!」や3年連続で開催した「猪木祭」も運営。「Dynamite!」では石井館長から、猪木祭ではアントニオ猪木から1歩引き、裏方に回り、調整役として奔走した。「肝心なところで選手をよそにもっていかれてしまう」と選手のギャラの高騰や、PRIDEの人気下降に頭をいためていたようだが、森下社長が「格闘技イベント」としてのPRIDEをだれよりも愛していたことは間違いない。スポーツナビでは、8日に行われた会見の全文を下記に掲載する。そこには、森下社長のPRIDEへの真摯な思いがぎっしりと詰まっている。会見の最後に森下社長が「僕の仕事」と言い切ったのは、「選手が気持ちよく試合ができる環境作り」だった。プロの格闘家が最高の試合をし、満員の観客が沸いた時、森下社長にとってPRIDEこそが"夢の舞台"だったのかもしれない。
森下直人DSE社長あいさつ
「PRIDEを世界一の総合格闘技のイベントにしたい」
森下社長がクオリティーの高さを誉めたPRIDE.24のノゲイラvsヘンダーソン戦
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
今年は、今まで、昨年のことを含めて反省しまして、今年1年をどうやっていこうか、と昨年末から考えていまして、そのお話を簡単にさせていただいて、記者の皆さんと懇親ができれば、と思います。
PRIDE.25がすでに発表されていると思いますが、3月16日、横浜アリーナで開催をします。それに関しては、できたら桜庭(和志)選手の復帰をにらみまして、当初のスケジュールでは2月にやろうかな、と思っていたんですけど、選手のケガの問題などを考慮して、3月16日に日程を決定をさせていただきました。そこで桜庭選手の復帰というのを僕としては望んでいまして、高田道場と本人と話をして、16日に間に合うように調整をするということで、今、出場できるか、できないか、という瀬戸際ではありますけど、コントロールしているところです。それと(アントニオ・ホドリゴ・)ノゲイラのタイトルマッチを、この16日のPRIDE.25でやろうと思っています。その2つを大きな目玉として、PRIDE.25を開催できたら、と思っております。
5月25日の大阪城ホールも日程的には決定ということで発表させていただきます。大阪は昨年やるつもりでいたんですけど、日程の関係上とばしてしまった部分がありますので、久々に大阪でまたできるということで、PRIDE.26を5月25日に大阪城ホールでやることを決定させていただきます。
チャンピオンを集めてGPを開催したい
11月の予定ですが、実はこれは、日程的にも、会場的にも押さえている部分があるんですけど、もう1週間ずれるとか不安定な部分があるので、今日は予定という形で発表させていただきます。PRIDEのGP開幕戦、決勝を8月、10月に開催させていただこうと思います。これはミドル級とヘビー級に分けて、それぞれ8人ぐらいで考えているんですけど、世界のいろいろなチャンピオンを集めてPRIDEのGPという形で開催をしたいと思っています。これに関しても、日程的に若干のズレがあるかもしれませんが、決定ということでご理解いただければ、と思います。11月のPRIDE.27は、通常のマッチメーク、ワンマッチのPRIDEを考えています。
昨年からいろいろ考えていたことの一番大きなことは、DSEもお手伝いをしながら、昨年の「Dynamite!」とか、本当に31日の「猪木祭」とか、「猪木祭」は3年連続でDSEで運営をさせていただいていますが、そういう形でPRIDE以外のイベントもお手伝いさせていただいているんですけど、ここでもう一度、PRIDEのコンセプトを見直して、PRIDEそのものが「世界一の総合格闘技、世界一のMMA(ミックスド・マーシャル・アーツ)だ」と言われるようなコンセプトをもう一度作り直そうと考えてきました。プロダクション能力としては世界の格闘技のどこのイベントを見ても、引けを取るイベントではないと自負しております。が、もう一方で競技として見た場合では、島田ルールディレクターを中心に、ルール面でもっと競技性を高めたいというところがありまして、競技としてのPRIDE、エンターテインメントとしてのPRIDE、という2本柱で、どこから切っても「これが総合格闘技の世界一のイベントなんだ」と言われるようなイベントにしたい、と思います。
せパンダよりクオリティーの高い選手に出場してもらう
それには昨年なんかを見ますと、「Dynamite!」が「これぞ、世界一の総合格闘技」と言えるイベントに見えてしまったり、「猪木祭」がそんな見え方になってしまったり、という部分があって、あのベースにはPRIDEがあって、PRIDEがあるからこそああいうイベントが成立していると、DSEの立場、僕の立場としては考えていますが、一般のお客様の見え方は果たしてそうだろうか、というところもあります。定期的に開催されるイベントのPRIDEが、本当に日本のファンの皆さんにも、世界のファンの皆さんにも「これぞ、世界一の総合格闘技なんだ」と言われるようなイベントにしていくつもりです。
そのために前回もしましたけど、ルールの変更をこれからも少しずつ競技性を高めるためにしていこうと思っていますし、選手の育成に関しても、これから世界とのリレーションもをもっともっと強くやっていこうと思っていますが、日本人選手の育成として、高田道場の高田延彦さんにもそういう部分で協力をお願いして了解をいただいていますし、あと吉田道場の吉田選手に関しても、日本人選手の育成という部分では約束をいただいている部分がありますので、その2つの道場を中心に、また今までPRIDEに出ていただいた日本人選手がいろいろな形で道場経営をしていますので、できるだけ日本人の選手を育成をしていただけるような環境作りをDSEとしても行っていきたいと思います。
その中で、本質的な...... 本質的なじゃないな......、その中でうわべの客寄せパンダ的な選手を集めて、ワンマッチのイベントを行うのではなくて、本質的な実力もあるし、技術もあるという選手にPRIDEのリングに上がっていただいて、そこでPRIDEのスターをどんどん生産していく、PRIDEのスターをどんどん産み出していくというスタイルを取れていけたらな、と思っています。その中にもアメリカ、ブラジル、ロシア勢といったところが中心になって、外国人勢は外国人勢でこれからどんどん頑張っていただかなければいけない部分もあるんですが、それに比例するように日本人選手も頑張っていけるような環境作りを心掛けていきたいと思っています。
3年がかりで獲得したライセンス
アメリカのPPVでDSEの経済基盤を築きたい
皆さん、ご承知だと思いますけど、昨年、秋に、アメリカのネバタ州のアスレチックコミッションからアメリカ以外の企業で初めて興行をやってもいいよ、というライセンスをいただきました。それはアメリカ以外の企業でライセンスを取ったというのは、DSEが初めてのことで、約3年がかりで、会社の財務経理、それと森下個人の犯罪歴とか、今までやってきた職歴とか、今持っている銀行の通帳だとか、すべて裸にされて、そういう書類審査を受けまして、その後、面接を何度か受けて、それで終わりかと思ったんですけど、その後、うちの株主ですとか、取引企業とかを徹底的に調査をされまして、最終的に約3年かかりましたけど、ライセンスをいただくことができました。それですぐにアメリカでイベントをやる、やらないということは考えていなかったんですけど、ライセンスを下ろした側は「いつイベントをやるんだ」と何度も問い合わせがあるのですが、僕としては、そのライセンスを取ったことによって、アメリカの市場において、会社としてのまず信用を一ついただいたと思っています。
それで市場作りを昨年秋以降、ちょっと強化をしてきたんですけど、その成果だと思うんですが、この春からアメリカのPPV(ペイパービュー)の視聴可能世帯というのが、4000万世帯あるんですけど、日本の世帯人口とほぼイコールなんですが、その4000万世帯に向けてPRIDEがPPVで視聴可能になるというのが、この春から実現します。今、アメリカは29ドル95セントでPRIDEを放映しているんですけど、それが4000万世帯のうち、何世帯見ていただけるか、という部分で、そこそこ数パーセント、まぁ、うまくいけば数十パーセント視聴率が獲得できれば、DSEとしても大きな経済基盤がそこで成立してくるという部分があります。もともとそういうビジネスを目指してDSEは運営してきたわけですけど、その足がかりというか、大きな一歩が前進をしたという報告を皆さんにしたいと思います。
新しいファン層を獲得しつつ、コアなファンも満足させたい
それと日本のPPVも「Dynamite!」で10万世帯を越えています。で、今、PRIDEのPPVが、大体平均すると5万から7万世帯ぐらいというのが平均です。いいものは10万近いところもありますけど、悪い時は5万をちょっと切ったり、とそんな状況にあるんですけど。それが平均して10万をいかに越えるか、というのを昨年までは持っていたんですが、目標がちょっと低かったな、という部分がありまして、もっと大きな目標を掲げて、もっと大きなPPVの市場作りを今後していきたい、という部分がありまして、メディア戦略を含めて、プロモーション戦略を大きく変えていくつもりでいます。そこは企業間の、いろいろな取引企業の関係を見直して、もっともっと大きな市場作りを目指して今年1年頑張っていきたい、と思います。
そのためにもPRIDEというのが、もっともっと社会的に認知されて、もっともっと一般のファンがついてくるようなイベントにしていかなければいけない、と思います。その一方、今までPRIDEを支えてきてくれたコアなファンの皆さまの気持ちに応えられるような、チャラチャラしただけのエンターテインメントイベントではなくて、本質的に、本当に格闘技の好きな人が見ていただいても見ごたえのある格闘技のイベントにしていきたい。そのためにも競技性を高めて、そのためにも選手のクオリティーをしっかり厳しくチェックをして、いい選手をどんどん上げていくような体制作りを、今年、ほぼ方向性は見えましたので、今年1年かけてやっていきます。そして今年1年かけて、どんな結果に出るかによって、来年以降、微調整をかけるなり、大きく方向転換をするなり、していきたいと思っています。
初心に戻りファンをがっかりさせない会社経営をする
あと話は変わりますけど、昨年12月に、格闘技界にとって、DSEにとってもですけど、石井館長の件がああいう形で報道され、ああいう形で一時的な結果が出てしまったことは非常に残念に思います。確かに石井館長がやられていることは、今、報道されている部分で見ると、決していいことではない、ということはだれもが思うんですけど、あの方が格闘技界に与えた影響は非常に大きなものがありますし、これからも何らかの形で合法的に活躍をしていただければいいな、と思っています。
そういう部分で、DSEという会社はもともと作った時に、怪しい業界の怪しいことをやってる、とまともにやっていても(そんなふうに)見られるような会社だろうな、と想定して作った部分がありまして、会計業務、経理業務はできるだけアウトソーシングをして、ガラス張りにしていきたい、という部分がありました。毎月、法人税は大きな借金が今までありましたのでたいして払っていないのですが、源泉は本当に毎月、毎月、何千万という形で払い続けてきまして、これだけ払っていれば文句ないだろう、というのが僕の言い分だったんですけど、世の中のお役所はそんなふうに見てくれないんじゃないか、というのがうちの会計士や税理士の話で、実際に税務署だとか、国税局だとかの調査をまともに受けたことはないんですけど、そういう部分ではかなり他人事ではなく、身を引き締めて、世の中の人を裏切らないように、世の中の人をがっかりさせないように、ちゃんとやらなければいけないな、とそんな教訓だったな、と思います。そういったことを経て、強く思ったことは、いくら正しいことをやっていても、一方では法を犯すようなことをしてしまったら、結局そのファンの人たちを裏切ってしまうような結果になるということを強く認識して、今年1年、会社の経営という部分に関しても、スタッフ全員に対して、もう一度初心に戻って身を引き締めて頑張っていきたい、と強く思いました。
市場はできた 今後はシェア争いで勝負に出る
そこの部分は本当に残念だな、という気持ちはあるんですけど、年も変わって、もう一度DSEとしては格闘技界のマーケットをいかに作るか、という今までの命題からもう一歩ステップアップして、市場はそこそこできたので、今度はPRIDEの市場、PRIDEのシェア争いという部分で真剣に勝負に出て行きたい、と思います。そのためにいい選手を育成、いい選手を獲得をして、「素晴らしい本当にどこから見ても世界一の総合格闘技だ」と言われるようなPRIDEを作っていく所存でございますので、今後とも皆さまの応援をくれぐれもよろしくお願いします。今日は本当にご出席ありがとうございました。